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CUUN 2021年4月号「胆泥・胆石症」

こんにちは。獣医師の佐々木将雄です。木々の緑も色鮮やかになり、各地から春の便りが聞こえてくると気持ちもあがって、愛犬との生活も新鮮な気分に変わってきます。
今回は、愛犬「クロ助ちゃん(10歳 男の子)」の飼い主様から「黄色い嘔吐、腹痛などの症状があって動物病院での検査後、胆泥・胆石症と診断されました。溜まっている胆石の量によっては手術の話しを受けましたが、処方された「アルピニア」を3ヵ月間飲んだところ、胆石の縮小、中性脂肪や肝臓の値も良くなりました!本当に嬉しいです。これからもケアを続けたいと思います!」と喜びのメッセージを頂きました。胆泥・胆石症は愛犬に多く、初期症状がほとんどない「沈黙の臓器」といわれる臓器です。発症後、手術をしても手遅れになる場合がありますので、今回は胆泥・胆石症を詳しく説明いたします。

【よく胆のうを摘出したと聞きますが、無くても大丈夫?】
肝臓で生成された胆汁は、脂肪の消化・吸収に必要な液体で胆嚢に一時貯蔵されています。食事が消化管を通過する際に、胆嚢が収縮して総胆管を通って十二指腸に排出され、消化・吸収しやすくします。人間も愛犬も、病気で胆嚢を摘出しても胆汁が消化管に排出できていれば、生きることができます。消化管内には他の消化酵素がでますが、胆汁も消化にとって大切な液体になります。

【胆泥・胆石症、人間と動物との違いは?】
人間で最も多い胆嚢疾患は「胆石症」で、「コレステロール結石」が大部分を占めて、脂肪分の多い食事や不規則な食事などによる胆のう疾患の病気です。
一方、愛犬で最も多いのが「胆泥症」です。愛犬が「結石」になるのは稀で、胆泥と胆石が混ざっていることはよくあります。サラサラな液体の胆汁がアミノ酸不足や細菌感染など、いくつかの要因が重なって胆汁が濃縮し泥状になり、流動性が悪くなると稀に胆石に変化します。結石成分はコレステロールやビリルビンも含まれますが、ほとんどが「カルシウム塩結石」になり人間とは違う主成分です。当院では、ダックスフンド、チワワ、プードル、ヨークシャテリアに多く見受けられます。
他にも犬特有の胆嚢疾患として、「胆のう粘液嚢腫」があります。胆嚢の粘膜からゲル状の固い粘液のムチンという糖タンパク質が分泌されていますが、胆泥症とは直接的な関係はなく、甲状腺や副腎などのホルモン異常により発症します。

【約半数の愛犬が胆泥症になっている報告も】
近年、超音波エコー検査の向上と健康診断の普及により、無症状の胆泥・胆石症が診断されるケースが増加。約15年前から増加傾向の「胆泥症」は、食物の種類や体質の変化が要因とも!約5~13歳の健康(無症状)な愛犬で53%、肝疾患をもつ愛犬で68%となる報告があります。当院を来院された愛犬において、10歳の65%以上に胆泥・胆石がみられ、多い印象を受けます。腹痛や下痢、嘔吐の症状で来院された場合、疑われる診断名の中に必ず胆嚢疾患が入ります。腹部のレントゲンや超音波検査を行いますが、このような病気のほとんどに「胆泥」がみつかります。また胆泥が総胆管に詰まって黄疸がみられ、胆嚢や胆管が破裂し腹膜炎を起こす重症例もあり、緊急手術になることも少なくありません。

【無症状の胆泥症は治療しなくてもいいのか?】
 「胆泥症は病気ではないので、治療をしなくても大丈夫」と、いう獣医師もいますが、考え方はさまざまです。そこで東京大学の大野先生の事例が分かりやすいので紹介します。胆泥の減少には飲み薬の治療で、最も多く使用されている胆汁を薄める「ウルソデオキシコール酸剤」や胃腸の運動性が上げる「エリスロママイシン」がありますが、14%しか効かず、効果は期待できないようです。この他、胆管から腸の開口部の筋肉を緩めて排出しやすくする「スカパール」を当院では使用しますが効果は5%以下で、あまり期待できていません。
そこで、大野先生は何も治療しないことで何らかの変化が起きるのかを2年~4年間、経過観察をし、24%の犬で胆泥が濃くなって固まりやすくなってしまいました。他にも胆泥の増加や胆石に変化したようです。
この結果から、前もって何らかの治療をする「必要性」は感じているが、反応のいい治療方法がみつかっていなのが現状のようです。

【当院の胆泥・胆石症に対する考え方】
当院では、顔や全身の真菌症(カビ)の症例がきっかけで積極的に胆泥治療を始めました。飲用試験で安全性が認証されている「月桃・へちま・玉川温泉混合液」成分の製品を、飼い主様が愛犬の顔や全身にスプレーしつつ、愛犬がおいしそうに飲んでいたので継続したようです。その結果、健康診断で胆泥・胆石がほぼ消失していました。他に食事や薬剤も変更したことはなく「月桃・へちま・玉川温泉混合液」成分の製品が要因であると考えて、他の病気で製品を使用しつつ胆泥も確認された愛犬に再度超音波検査をしたところ、半数以上で30%以上胆泥の減少が確認できました。また、月桃には動脈の拡張作用や抗血栓作用、アンモニアガス除去性能試験も認証しているため、腎不全や肝不全の愛犬にも使用し、超音波検査で確認後、同様に胆泥の減少が認められました。そこで、当時使用していた症例で投与期間を区切って胆泥の減少率を追跡したところ、3ヵ月間飲用した愛犬に65.5%、7ヵ月間の飲用では79.3%の胆泥の減少が確認されました!私がいままで経験した胆泥症の治療の中で、最も顕著に胆泥が減少したことになります。

【月桃・へちま・玉川温泉混合液を使用した年から胆嚢摘出手術がゼロに!】
この結果を参考に、他の病気で飲ませていたペットの胆泥の関係性を比較したところ、当院にて、2014年の胆嚢摘出術は14件、2015年は8件、2016年は11件と、毎年約10件の手術をしていましたが、「月桃・へちま・玉川温泉混合液」成分の製品を心不全、腎不全、肝不全、皮膚疾患などの複数の病気に使い始めた2017年から、胆嚢摘出術の件数は、5年連続0件を継続中です。当初は、偶然と思いましたが、何年も続くと「月桃・へちま・玉川温泉混合液」成分の投与に大きな関連性があると考えられます。
この調査がきっかけとなり、無症状であっても事前に胆泥症がみつかった場合、飼い主様の希望があれば「月桃・へちま・玉川温泉混合液」成分の製品を使用しています。早期にこの治療を開始することで、手術を要する胆嚢疾患の発症が抑制されるのではないかと考えています。

【月桃には愛犬の胆泥・胆石を作りにくくする作用がある】
「月桃・へちま・玉川温泉混合液」に含まれた赤ワインの34倍のポリフェノールには胆石生成抑制やムチン生成抑制が知られています。その他にも消化管からCCK【コレシストキニン(胆嚢収縮ホルモン)】、GLP-1【グルカゴン様ペプチド-1】、PYY【ペプチドチロシンチロシン】のホルモン分泌が増加し、20種類のアミノ酸の作用が加わることで、胆嚢が収縮され胆汁の排出がより促進されます。また、月桃には脂肪分解作用があるため、腸管から脂溶性ビタミンが吸収されやすく、胆汁の分泌が促進され胆嚢内の胆汁の流動性と胆嚢の収縮性が増強されて胆泥・胆石の滞留や形成ができにくくなっていると考えられます。
家族の一員である大切な愛犬には、治療実績のある安全な製品を日々の内臓ケアに使い、病気にならないための体づくりに努めていただければ嬉しいです。

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