Vaccine

 

予防医学

ワクチンについて

ワクチンを接種するということは、病原性のないウイルスや細菌を体の中に入れるということです。体はそれによって抗体(免疫)を作りだし、本の(病原性のある)ウイルスや細菌が入って来た場合に攻撃します。
子犬、子猫の場合、母乳を飲んだときに、お母さんから抗体(母子免疫)をゆずり受けます。この抗体により、当分は病気にならないで済みます。しかしこれは自分で作りだしたものではないので、やがては無くなります。無くなる時期はその子によって大きく異なりますが、多くの場合生後2ヶ月前後から4ヶ月前後の間に無くなります。
ワクチンをうつ時期は抗体が感染防御ライン付近まで落ちて来た時期がいいのですが、個人差があり正確にはわからないので、2ヶ月~4ヶ月くらいの間に2~3回ワクチンをうつのがいいとされています。

主なワクチン

ジステンパ-

ジステンパ-ウイルスにより、鼻汁、目やに、咳、くしゃみといった呼吸器症状と嘔吐、下痢といった消化器症状がでて、その後けいれん等、神経が冒され死亡します。運良く助かっても後遺症が残ります。

パルボ腸炎

パルボウイルスにより、激しい下痢と嘔吐をおこします。発症から数時間で死亡することもあり、死亡率もかなり高いです。

伝染性肝炎

アデノウイルス1型により、発熱、嘔吐、下痢が見られ、目が白く濁ることもあります。子犬が感染すると突然死することもあります。

パラインフルエンザ感染症 アデノウイルス2型感染症

呼吸器の感染症で、咳、くしゃみが出て、ひどいと気管支炎、肺炎になります。犬が多く集まるところによく発生します。

レプトスピラ感染症

レプトスピラ菌に汚染した沼、田の水を飲んだり、犬の尿から感染します。
イクテロヘモラ-ジ型 :発熱、嘔吐、黄疸、歯肉からの出血などが見られます。
カニコラ型: 発熱、脱水、尿毒症などが見られます。
※レプトスピラ症は人にも伝染する恐ろしい病気です。

猫ウイルス性鼻気管炎

ヘルペスウイルスにより、発熱、目やに、鼻汁が出ます。放っておくと食べられないので脱水を起こして死亡します。

猫カリシウイルス感染症

上の伝染病と症状はよく似ていますが、舌や口の周辺に潰瘍ができることもあります。猫ウイルス性鼻気管炎と混合感染してる場合が多いです。

猫汎白血球減少症(猫パルボ)

パルボウイルスにより、白血球が極端に少なくなり抵抗力が無くなる病気です。高熱、激しい下痢、嘔吐で脱水し、細菌の二次感染で短時間のうちに死亡することもめずらしくありません。

猫白血病ウイルス感染症

猫に白血病(血液細胞の癌)やリンパ腫をはじめさまざまな病気を引き起こす恐ろしいウイルス感染症です。骨髄やリンパ組織を壊して免疫力を弱めてしまうため、いろいろな病気を併発いやすくなります。3年以内に80%が死亡すると言われています。

狂犬病

日本のすべての飼い犬は、生後91日たったら法律により狂犬病のワクチンを接種しなければなならない決まりになっています。 狂犬病はワンちゃんだけでなく、猫もアライグマもスカンク、コウモリまでほ乳類すべてに感染する病気で、発症すれば現代医学をもってしても100%助かりません。 人が感染すると神経が麻痺して、歩くどころか、水を飲み込むことすらできません。 現在、日本で狂犬病を心配している人がほとんどいないのは、ワクチンの集団接種のおかげといえるでしょう。 ところが、日本の様な国は世界的にはわずかで、大陸諸国ではかなり発生があります。特にアジア地域では毎年何千何万の人々がこの病気で亡くなっています。 最近は、特に国際化が進み外国から犬猫を連れて帰ってきたり、あるいは野生動物の輸入が盛んなため、いつ日本に狂犬病が入ってくるかもしれません。そのためにもワクチンを打っておくのは飼い主の努めです。

※以上のように犬、猫共に数多くの伝染病が存在いたします。幸いこれらの病気にはワクチンがありますので、先生と相談して、その動物にあった予防のワクチンを接種してもらいましょう。

フィラリア症について

フィラリア(症)は蚊に刺された時にうつされる寄生虫で、最初は数ミリ程度の子虫の状態でワンちゃんに入りますが、約半年も経つと20~30センチほどのそうめん状の親虫になります。そしてワンちゃんの心臓(右心室)と肺動脈に住みつき、心臓の働きを悪くします。
症状がでてくる時期は様々で、感染したからといってすぐにワンちゃんの様子が変わるとは限りません。ワンちゃんの大きさ(心臓の大きさ)とフィラリアが何匹寄生しているかによります。一般に、犬が小さいほど、寄生数が多いほど症状は早く、強くでます。 主な症状は体力(持久力)がなくなる、咳がでる、食が細くなり痩せる、お腹に水が溜まり大きくなる、運動後に失神する、赤い尿を出し急死する(急性型)、などです。
この病気の診断は上記の症状と予防歴の有無、加えて、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などが必要です。その結果もしフィラリア症と診断されてしまった場合、症状の重さにより治療法が異なってきますが、いずれも難しく危険が伴います。 やはり一番いい方法は、予防によりこの病気にならないのが一番です。現在では、蚊のシ-ズンに月一回のお薬で確実に予防できます。

※ワンちゃんは生まれた時は誰もフィラリア症になっていません。あなたのワンちゃんはあなただけが頼りです。