CUUN 2021年3月号「免疫力」
こんにちは。獣医師の佐々木将雄です。近くの公園では、枯れ草の間に鮮やかに緑が見え隠れして、梅の花も目に鮮やかな季節になりました。コロナ禍でも、限られた場所や時間帯のなかで散歩を楽しんでいるペットを見かけると、一瞬、笑顔になり、心も和みます。
今回は愛犬「ソルト」ちゃん(2 歳女の子)の飼い主様から「病気で6日間の入院をしましたが、入院期間中ブラッシングができず、退院したときにはお尻が毛玉で絡まり、ハゲていました!退院後、ブラッシングのたびにアルピニアスプレーをして、5ヶ月後にはフサフサで濃い色のツヤツヤした毛が生えてきて本当に嬉しいです」と喜びのメッセージを頂きました。病気や入院で受けたストレスは免疫力を低下させる要因にもなり、別の病気を誘発したり、皮膚においては心因性脱毛の原因にもなります。今回は、免疫力とその高め方について詳しくお話しさせて頂きます。
【免疫には大きく2段階あります】
日々、私たちやペットの体内に、ウイルスや細菌、花粉などの「異物」が絶えず侵入しようとします。しかし、これらの異物を「侵入」させないように体を守っているのが「粘膜免疫」です。粘膜免疫が働く場所は、目、鼻、口、腸管などの粘膜です。ここで異物が粘膜を介して体内に入るのを防ぎ、体外に出してしまうことで感染を防ぐことを「粘膜免疫【防御免疫】」と言います。それでも、病原体が「粘膜免疫」を突破して体内に侵入し、増殖してしまった状態が「感染」です。体に侵入したウイルスや細菌に対しては、次の段階の「全身免疫【攻撃免疫】」が働きます。全身免疫のシステムでは、免疫細胞が病原体を捕えて、排除するよう働きます。今、新型コロナウイルス感染症でも使用されているPCR検査は鼻や咽頭粘膜に付着したウイルスや細菌の遺伝子を増幅して菌を検出する検査ですが、病原体の症状が発症してない場合は、「粘膜免疫」が働いて、感染せずに終わることもありますので、PCR検査が陽性になっていたとしても粘膜免疫の機能で防御できていれば、微量のウイルスの付着であればほとんど発症することはありません。
また、毎日、体内の細胞が入れ替わりますが、その細胞分裂時に異形性のある細胞も発生しています。この異常な細胞が増殖した状態が「がん」です。1日分のがん細胞を集めると、人間で米粒くらいの大きさになります。このように体内で生まれたがん細胞のような異物を攻撃するのも「全身免疫」の役割となります。
【免疫力が下がる原因】
ストレス:散歩や運動が足りなかったり、飼い主様との散歩やスキンシップが少なくなったりするとストレスを感じてしまします。それが持続したり、強いストレスに感じるようになると自律神経の働きが乱れ、コルチゾールの過剰分泌を引き起こし、免疫機能が正常に働かなくなります。ストレスは自律神経の乱れを招いてしまうため、副交感神経を優位にするような環境作りに努めて下さい。
睡眠不足:人間と同じように、免疫細胞が活性化されるのは睡眠時のため、睡眠不足になると免疫力が下がってしまいます。ペットは平均睡眠時間が人間より多いため、人間に合わせた生活は睡眠不足になり、免疫力が低下します。ペットが12時間~15時間ほどの睡眠時間を得られるように調整する必要があります。
運動不足:運動量が減ることで血行不良に繋がり、栄養が体の隅々に行き渡らなくなるため、結果として免疫力が低下してしまいます。リードを見た時の喜び方は本当に嬉しそうです。楽しみに散歩に出かけるときも、ペットのコンディションや、外の天気や気温に配慮して下さい。室内飼育の方も、定期的に日光を浴びるために、コミュニティーやドックランなどに出かける習慣を作るといいでしょう。
加齢:犬の免疫力低下の大きな原因のひとつに、加齢が挙げられます。犬は7歳を過ぎるとシニア期に入ります。食事や運動、すべてにおいてその子に合った無理のない生活ができるように、日々接している飼い主様の注意深いケアが必要になります。
食事と栄養素:食事のバランスが偏ると、特定の栄養素だけが摂取され、必要な栄養素を供給できなくなり、腸の活力を低下させてしまい免疫力も低下してしまいます。免疫力と腸の力には非常に密接なかかわりがあることは知られています。消化しやすい良質のドライフードが推奨されますが、低価格で粗悪なフードも市販されています。ペットに食物アレルギー疾患の持病がある場合は、なおさら裏面の成分表や原材料を確認が必要です。すぐに、フードの種類を変更したり、いろんなおやつの与えすぎも免疫力低下防止のため、控えなければなりません。
【免疫反応の異常でも特殊な病気になります】
全身性エリテマトーデス:自分の体を攻撃してしまう自己免疫疾患で難治性の全身性皮膚炎を起こします。遺伝的要因やレトロウイルスの感染などが原因と考えられています。
関節リウマチ(免疫介在性多発性関節炎):自分の免疫異常で起こる関節炎で、本来は自分を守る免疫が突然、自分の関節を敵と見なし攻撃をす病気です。関節の腫れや痛み続き、曲がらなくなってしまいます。
炎症性腸疾患(IBD):原因が特定されてない慢性非特異性腸炎で、腸粘膜に炎症や潰瘍
ができ、慢性的な下痢、血便、腹痛を起こす難治性疾患す。
免疫介在性溶血性貧血:体に侵入した病原菌などを退治する免疫システムが赤血球を破壊して貧血に陥る病気です。犬の溶血性貧血の中で最も有名な貧血ですが、この病気に罹った犬の死亡率が約40%とかなり高いことでも知られています。
基本的にこれらの自己免疫疾患は完治することが難しいと言われていますが、先に述べた「免疫力を下げる原因」は排除することで、症状を緩和できることが知られています。それと同時に、免疫力を上げる方法も併用することも大切になります。
【免疫力を高める方法】
免疫力を維持したり上げるには、先に述べました5つの「免疫が下がる原因」に対して対策やケアをする必要があります。中でも「食事と栄養素」は重要な項目になります。“食事療法”という言葉もあるように病気にならないために、食事の量や栄養バランスを調節して臓器をケアすることを意味します。口から入る食事やその栄養素は免疫と密接に関係します。食べものに含まれる成分は、炎症性サイトカイン(身体全体あるいは身体のある部位の炎症の原因になる)の合成、免疫細胞(代表的なものとしては白血球)の制御、および遺伝子発現を妨害することにより、免疫において重要な役割を果たします。特に、食品成分のうちポリフェノールは外からの病原体に対する免疫を促進します。多くの免疫細胞がポリフェノール受容体を持っているため、免疫細胞の信号が強化され、免疫能力が上がることになります。特に、月桃にはたくさんの種類のポリフェノールが含まれており、赤ワインンの34倍と言われ、抗酸化、抗炎症、除菌、抗高脂血症作用や肝臓保護作用も知られており、腸の粘膜免疫応答、アレルギー性疾患、抗腫瘍免疫の調節、インターフェロンの誘道もします。
【免疫力を上げるには、対外環境を健康に保つこと】
動物の身体は、口から肛門まで続くトンネルのような構造になっていることにお気づきでしょうか? 腸内環境は体内にありながら、皮膚と同じように外界にさらされているため「対外環境」とも呼ばれています。皮膚と腸をケアすることは身体の外側のすべてを強化することになり、全身の免疫力を高めることになるのです。
そこで今回も「月桃・へちま・玉川温泉混合液」の投与を推奨いたします。食事をするたびに、腸は食べ物だけでなく、細菌やウイルスにも毎日触れています。免疫細胞の約7割は腸にいると言われます。 腸内の免疫細胞を活性化できるかどうかが、免疫力を大きく左右します。それは皮膚も同じことです。人間は、健康に良いとされている、納豆やヨーグルト、発酵食品などを食べれますが、動物はそうは行きません。中には粗悪なペットフードも多く、添加物や有害な抗酸化剤で免疫力が下がり、ガンや病気になるリスクが高まります。「月桃・へちま・玉川温泉混合液」は以前にも書かせて頂いたように、皮膚や粘膜のバリア機能を回復させ、強化させることが可能になります。皮膚や腸内環境【対外環境】を整えることは全身の免疫力を上げることに繋がります。
毎日の全身のケアは免疫を上げ、病気にならない身体を作ります。皮膚に塗布したり、お口の中にスプレーしてケアしたり、食事や飲み水にスプレーしたり、1つの商品ですべてのケアに対応できます。
家族の一員である大切なペットには、治療実績のある安全な製品を日々の全身ケアに使用して頂き、病気にならないための体作りに努めて頂きたいと思います。